特集・キャッチです。プロレスラーになるという夢を追いかけ動き始めた1人の若者がいます。“コロナ禍”のいま、一念発起して夢を追い求めるその姿をキャッチしました。
おじぃちゃん、おばぁちゃん、そして、子どもたちまで。
故郷・九州の人々を、元気にするために立ち上がった不器用な男たち。
■九州プロレス・筑前りょう太理事長
「我々が見せていくべきものは、負けるかという気持ちだと思うので、あえて攻めています。」
福岡を拠点に活動する九州プロレスで、1人の若者が夢を追い求めている。ことし3月に行われた新人オーディションで、入門を許された中野蒼天(18)。中野は、父親の勧めで5歳から柔道を始め、高校時代は柔道の実力校で主力選手として活躍した。そして、高校卒業後、すぐに九州プロレスへの入団を決意した。
■中野蒼天
「(高校時代は)自分の納得いくようないい結果が出ず、最後の3年生のインターハイも、新型コロナウイルスで無くなってしまいました。なので、自分は、自分のプロレスを見てもらって恩返ししようと思っています。」
福岡市の自動車修理工場の一角を間借りした九州プロレスの練習道場。入門して6か月経った中野の姿があった。リングデビューするための体力と精神力を身につけるため、トレーニングでは、常に自分の限界以上が求められる。
■中野
「練習の面でも、自分の心の弱さというものが、まだありますので、そこを補っていきたい。自分は体が小さいので、飛べるプロレスラーを目指していきたい。」
■中野
「入寮するまでは、まったく料理の方はやったことがない。」
練習が終われば寮での食事作り。休む間もなく、練習生には、様々な雑用が待っている。
■中野
「きょうは何を作ろうかなと。スーパーに行って、ずっと考えたりしますね。」
食事は、レスラーにとって体を作るための重要な日課。そんな毎日で気付いたことがあった。
■中野
「いままで自分がやってなかったので気づけなかったんですけれど、自分を育ててくれた両親が、毎日大変な思いをしていたんだと、ありがたかったというのか、入寮してから気づきましたね。」
■中野
「お疲れ様です。チャンコできました。」
寮で寝食を共にするレスラー・野崎広大(24)。
同じ柔道出身の野崎は、中野の入門以来、指導を任されている。
■野崎広大
「うまいよ。前回と全然違う。クオリティーが。」
■野崎
「(九州プロレスに)自分が入った時と同じ年の子が下に入ってくることで、思い返されるというか、そういう(入門した)時の気持ちは、いまでも持ち続けて、やっていかないとあらためて思う。」
地域に貢献したい、その思いから九州プロレスは年間約50の大会やイベントを開いてきた。
リングに足を運べない人にも元気を届けようと、これまで1700以上の施設を慰問している。
■筑前理事長
「どんなことがあろうと、前に突き進んでやるという、その姿を見せていくのが、ぼくたちの世の中に対する役割だと思う。」
しかし、ここにも新型コロナウイルスが大きく立ちはだかった。大会の延期や活動自粛。試合数は例年の3割にとどまり収益も大幅に減った。さらに。活動を再開したことし8月には、主力選手の野崎が新型コロナウイルスに感染。
■野崎
「(完治しても)日常生活でも、支障がるというか。その後も現実を突きつけられた。こういう制限された世の中になったいま、いまだからこそ、逆に前を向いて走り続けないといけないと思っているので、ぼくらは。」
10月、福岡県柳川市で開いたプロレスイベント。感染対策で会場の人数を制限して行われた。
リング上には、闘志を見せる野崎の姿が。リングサイドでセコンドを務める練習生の中野は、その姿に圧倒された。
四角いリングを仕事場とし、見る人を元気にするプロレス。
■中野
「プロレスラーになるっていうことは、自分の夢のためだけじゃないなと。その先に、自分の体を使って、見ている人を喜ばせたり、元気にすることが出来るんじゃないかなと思います。」
いま目指すのは、リングの上でひときわ輝く理想のレスラー。
■中野
「(自分の)限界を作ってしまう。もうダメだという気持ちが少し出るところがあるので、プロとして、ふさわしい振る舞いができるように、いまの自分の中の課題は、自分に嘘をつかないことです。」
勝ち負けだけではないリング上にあるすべて。プロレスで九州に元気を届けるため。戦い続ける男たちの挑戦は続く。
#FBS福岡放送 #めんたいワイド
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