【試合映像で検証する】伝説の不穏試合。前田日明VSスーパータイガー セメントを仕掛けた前田。プロレスをしようと努力した佐山。なぜこの2人に確執は生まれてしまったのか？　#プロレス　#格闘技　 #猪木

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後楽園ホールでは新日本を上回るほどの人気を誇る第1次UWFも、地方の人気は盛り上がりに欠けていた。営業サイドは「元タイガーマスク」を大々的に売り出そうとしたが、佐山はマスクを被ったかつての戦い方に戻ることを拒絶した。

ガチガチの格闘技とショーアップしたプロレスの折衷案が理想形で、もっと腹を割って話し合えばその可能性もあったかもしれないが、現実はそう簡単ではなかった。

自らが設立した「スーパータイガージム」を生活基盤とする佐山は、むやみに興行数が増えるのを牽制し、「プロが無理ならアマチュアでもいい」と公言していた。

第1次UWFという団体の存在すら否定しかねない発言は、社員や所属選手にとっては死活問題である。団体内部は「前田をエースに！」という待望論に傾いた。

前田をはじめとする選手やフロントと佐山の確執、不協和音は日増しに高まる一方で、いつどんな形で爆発してもおかしくはい状況であった。

道場にも現れない佐山は、孤立感をますます深めていく。態勢を立て直そうにも、経営悪化は深刻で、会議では「9月11日の後楽園で、リング上から全員でバンザイをして解散宣言しよう」という話し合いもされたほどだった。

当時を振り返って、前田はこう語っている。

「佐山さんは、UWFの先鋭さを増すためにとにかく試合を減らしたがった。ところが俺たちは、試合を多く打たないと生活ができない。イコール、会社も存続できない」

「スーパータイガージムからの副収入が毎月100万レベルであった佐山さんには、俺たちの苦労がわからない。佐山さんの目を覚まさせたい気持ちだった」

そんな前田をそそのかした人物たちがいる。当時の第1次UWFのフロントだった伊佐早敏男氏や上井文彦氏である。団体を存続させねばならないという彼らの義憤もあったことだろう。

実は、7月25日の大田区体育館における前田vsスーパータイガーの一戦も、シュートマッチめいたものになっていた。

こちらは伊佐早氏の主導で、「今日、前田がやるから」と試合前に周囲に公言し、実際にギクシャクした試合にはなっていたという。だが、結果は逆エビ固めで前田の勝ち。とりあえず試合としては成立したこととなる。

そして、「佐山さんの目を覚まさせたい」という前田の言葉はついに現実になった。

1995年9月2日、大阪府立臨海スポーツセンターで行われた、前田VSスーパータイガーの一戦が、ガチンコのケンカマッチとなったのだ。

#プロレス　#格闘技　 #アントニオ猪木

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